
新しい生活のスタートとなる新築、その喜びと同時に気になるのがご近所付き合いではないでしょうか。
特に、新築祝いをご近所に贈るべきか、またどの程度の品物を選べば良いのか、多くの方が悩むポイントです。
良好な関係を築く第一歩として、挨拶回りは欠かせませんが、その際に手渡す品物の相場や適切なタイミング、さらには失礼にあたらないためのマナーを知っておくことは非常に重要になります。
また、逆にご近所から新築祝いをもらったら、お返しは必要なのか、その際の金額や品物はどうすれば良いのかという疑問も生じるでしょう。
のしの書き方一つとっても、正しい知識がなければ相手に意図せず不快な思いをさせてしまう可能性もゼロではありません。
この記事では、新築祝いをご近所と円滑に進めるために知っておきたい、挨拶品やギフトの相場、もらったらどう対応すべきか、贈るタイミングや避けるべきタブーといった基本的なマナーから、お返し(内祝い)の考え方まで、あらゆる疑問を解消します。
これから始まる新しいご近所付き合いをスムーズにするため、ぜひ参考にしてください。
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この記事で分かる事、ポイント
- ご近所への新築祝い(挨拶品)の適切な相場
 - ご近所に喜ばれる品物の具体的な選び方
 - 正しいのしの書き方と表書きの種類
 - 新築祝いを渡す最適なタイミングと時間帯
 - 贈答品として避けるべきタブーなアイテム
 - ご近所から新築祝いをもらった場合のお返しの要否
 - 感謝の気持ちが伝わる挨拶の仕方とポイント
 
新築祝いをご近所に贈る際の基本マナー
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この章のポイント
- ご近所への新築祝いの相場と金額
 - 喜ばれる品物の選び方と具体例
 - 新築祝いに付けるのしの書き方
 - 贈るタイミングはいつがベスト?
 - 知っておきたい贈答のタブー
 
ご近所への新築祝いの相場と金額

新築の挨拶回りでご近所に渡す品物について考える際、まず気になるのがその相場と金額でしょう。
友人や親族に贈るような高価な「新築祝い」とは異なり、ご近所への挨拶品は、あくまで今後の良好な関係を築くためのきっかけと捉えるのが一般的です。
したがって、相手に気を遣わせない程度の金額に抑えるのがマナーと言えます。
具体的には、一軒あたり500円から1,000円程度が最も一般的な相場となっています。
この価格帯であれば、受け取る側も心理的な負担を感じにくく、素直に受け取ってくれる可能性が高いでしょう。
特にこれからお付き合いが始まるご近所の方々に対して、あまりに高価なものを贈ってしまうと、「何かお返しをしなければ」と相手を悩ませてしまう原因にもなりかねません。
私の経験上、地域の慣習や住宅地の雰囲気によって多少の違いはありますが、1,000円を超えても1,500円程度までが上限と考えるのが無難です。
大切なのは金額の大きさよりも、これからお世話になるという気持ちを伝えることです。
例えば、自治会長さんや特に親しくなりたいお隣さんへは少しだけ予算を上げて1,000円程度の品物を選び、その他のご家庭には500円程度のものを用意するなど、状況に応じて柔軟に考えるのも一つの方法かもしれません。
あくまで挨拶の気持ちを形にするものなので、見栄を張らず、等身大の予算で心を込めて選ぶことが、結果的に良いご近所付き合いのスタートにつながるのではないでしょうか。
喜ばれる品物の選び方と具体例
ご近所への挨拶品選びで最も重要なポイントは、「相手の負担にならず、気軽に受け取ってもらえるもの」を選ぶことです。
高価なものや、相手の好みが大きく分かれるものは避けるのが賢明と言えるでしょう。
一般的に「消えもの」と呼ばれる、使ったり食べたりすればなくなるものが喜ばれる傾向にあります。
なぜなら、消えものであれば保管場所に困ることもなく、万が一好みに合わなくても相手の負担になりにくいからです。
消えものの具体例
具体的にどのような品物が喜ばれるのか、いくつか例を挙げてみましょう。
まず定番なのが、お菓子類です。
クッキーやフィナンシェといった焼き菓子は日持ちがするため、贈る相手の都合の良い時に食べてもらえます。
このとき、家族構成が分からない場合でも対応できるよう、個包装になっているものを選ぶと親切でしょう。
次に、日常生活で必ず使うような日用品も人気の選択肢です。
例えば、ラップやジッパー付き保存袋、質の良いティッシュペーパー、食器用洗剤などが挙げられます。
これらはどの家庭でも使う消耗品なので、もらって困るという人はまずいません。
ただし、香りが強い柔軟剤や洗剤は好みが分かれるため、無香料タイプを選ぶなどの配慮が必要です。
また、少し質の良いタオルも定番のギフトとして根強い人気があります。
自分ではなかなか買わないような、少しだけ高級感のあるタオルは特別感があり喜ばれます。
こちらも、派手な柄物よりは、誰でも使いやすいシンプルなデザインや色のものを選ぶのが無難です。
避けた方が良い品物
一方で、避けた方が良い品物もあります。
例えば、手作りの食べ物は衛生面を気にする方もいるため、避けた方が良いでしょう。
また、置物やインテリア雑貨などは完全に相手の趣味に依存するため、よほど親しい間柄でない限りは贈るべきではありません。
このように、品物選びでは「自分が贈りたいもの」ではなく、「相手が受け取って困らないもの」という視点を持つことが、良い関係を築くための第一歩となります。
新築祝いに付けるのしの書き方

ご近所への挨拶品を準備する際、品物だけでなく「のし」をどうするかという点も重要です。
丁寧な印象を与えるために、のしを付けることをおすすめします。
しかし、のしには様々な種類とルールがあり、間違えると失礼にあたる可能性もあるため、正しい知識を身につけておきましょう。
まず、水引の種類ですが、新築のような何度あっても喜ばしいお祝い事には、「紅白の蝶結び」を使用します。
蝶結びは、何度も結び直せることから、繰り返しお祝いしたい出来事に用いられるのが特徴です。
次に、のしの上段に書く「表書き」です。
ご近所への挨拶品の場合、厳密には「新築祝い」ではなく、今後のご挨拶が目的ですので、「御挨拶」と書くのが最も一般的で適切です。
もし、工事中にご迷惑をおかけしたお詫びの気持ちも伝えたい場合は、「粗品」としても良いでしょう。
そして、のしの下段には、自分の名前を記載します。
水引を挟んで、表書きよりも少し小さめの文字で、名字のみを書くのが一般的です。
家族全員の名前を入れる必要はありません。
これにより、誰からの贈り物かが一目で分かり、相手に名前を覚えてもらいやすくなります。
のしを品物に掛ける方法には、「内のし」と「外のし」があります。
「内のし」は品物に直接のしを掛け、その上から包装紙で包む方法で、控えめに贈りたい場合に適しています。
一方、「外のし」は品物を包装紙で包んだ上からのしを掛ける方法で、誰からのどんな目的の贈り物かをすぐに伝えたい場合に用いられます。
ご近所への挨拶回りの場合は、誰から来たのかを分かりやすくするため「外のし」が推奨されることが多いです。
これらのマナーを守ることで、より丁寧で心のこもった挨拶になるでしょう。
| 項目 | 内容 | ポイント | 
|---|---|---|
| 水引 | 紅白の蝶結び | 何度あっても良いお祝い事に使う | 
| 表書き | 御挨拶 | 最も一般的で丁寧な表現 | 
| 名前 | 名字のみ | 水引の下にフルネームではなく名字を書く | 
| 掛け方 | 外のし | 誰からの贈り物か分かりやすい | 
贈るタイミングはいつがベスト?
品物やのしの準備が整ったら、次に重要なのがご近所へ挨拶に伺うタイミングです。
タイミングを間違えると、相手の迷惑になってしまい、かえって印象を悪くしてしまう可能性もあります。
一般的に、引っ越しの挨拶は、工事が始まる前と、引っ越し後のできるだけ早い時期の2回行うのが理想とされています。
しかし、新築祝いを兼ねた挨拶品を渡すのは、引っ越し後で問題ありません。
理想的なのは、引っ越しの前日か当日、遅くとも引っ越し後1週間以内には済ませておきたいところです。
なぜなら、あまり時間が経ってしまうと、挨拶に行くきっかけを失ってしまいがちだからです。
また、引っ越し作業でトラックの出入りや騒音など、何かしらご迷惑をかける可能性があるため、早めに挨拶をすることで「これからよろしくお願いします」という誠意が伝わりやすくなります。
訪問する時間帯の配慮
訪問する時間帯にも配慮が必要です。
早朝や深夜、食事時であるお昼の12時前後や夕方の18時以降は避けるのがマナーです。
相手が一番忙しい時間帯に訪問するのは、迷惑行為と受け取られかねません。
おすすめの時間帯は、土日祝日の日中、具体的には午前10時から11時頃、または午後14時から17時頃です。
平日は仕事で不在の家庭も多いため、在宅している可能性が高い週末が狙い目と言えるでしょう。
もし、何度か訪問しても留守が続く場合は、無理に何度も訪ねるのではなく、挨拶状と品物をドアノブに掛けておくなどの方法も考えられます。
その際は、品物が傷まないように配慮し、一言メッセージを添えると、より丁寧な印象を与えられます。
相手の生活リズムを尊重する姿勢が、円滑なご近所付き合いの第一歩となります。
知っておきたい贈答のタブー

贈り物には、お祝い事の種類によって避けるべき「タブー」とされる品物が存在します。
新築祝いにおいても、良かれと思って選んだ品物が、実はマナー違反だったということがないように、基本的な知識を身につけておくことが大切です。
特に、火事を連想させるものは最大のタブーとされています。
例えば、赤い色のもの全般、キャンドル、アロマオイル、ライター、灰皿、ストーブなどがこれに該当します。
赤い花束や赤いラッピングも避けた方が無難でしょう。
新しい家が火の災いに遭わないようにという願いが込められた、古くからの習わしです。
次に、壁に穴を開けなければ飾れないものも、新築祝いとしては避けるべきとされています。
壁掛け時計や絵画、壁飾りなどがこれにあたります。
せっかくの新築の壁に、相手が望まない穴を開けさせることになる可能性があるため、配慮が必要です。
もし時計などを贈りたい場合は、置き時計を選ぶようにしましょう。
さらに、スリッパやマットなどの敷物類も、相手によっては「踏みつける」という意味に取られる可能性があるため、目上の方への贈り物としては避けた方が良いとされています。
また、ハンカチは漢字で「手巾(てぎれ)」と書くことから、「手切れ」を連想させるため、お祝いの贈り物には不向きとされることがあります。
ただし、ご近所への挨拶品は500円~1,000円程度の気軽なものが多いため、友人や親族への本格的な新築祝いほど厳格に気にする必要はないという考え方もあります。
それでも、相手がどのように感じるかは分からないため、念のためこれらのタブー品を避けて品物を選ぶのが最も安心です。
相手を不快にさせないための心遣いとして、これらの知識を頭の片隅に置いておくと良いでしょう。
新築祝いをご近所からもらったらどうする?
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この章のポイント
- 新築祝いをもらったらお返しは必要?
 - お返し(内祝い)におすすめの品物
 - 感謝を伝える挨拶のポイント
 
新築祝いをもらったらお返しは必要?

自分が挨拶品を贈るだけでなく、逆にご近所の方から「お引越しおめでとうございます」といった形で新築祝いをいただくケースもあります。
この場合、多くの人が「お返し(内祝い)は必要なのだろうか?」と悩むことでしょう。
結論から言うと、ご近所からいただいた品物が、挨拶回りで渡すような500円~1,000円程度の気軽なギフトであった場合、原則としてかしこまったお返しの品は不要とされています。
なぜなら、相手も「お返しは結構ですよ」という気持ちで贈ってくれていることがほとんどだからです。
このような場合に律儀にお返しをしてしまうと、かえって相手に気を遣わせてしまい、「これからのお付き合いが大変そうだ」と思われてしまう可能性すらあります。
このケースで最も大切なのは、品物でお返しをすることではなく、感謝の気持ちを言葉でしっかりと伝えることです。
品物を受け取った際にはもちろん、「後日お会いした際にもう一度お礼を言う」という姿勢が、何よりものお返しになります。
「先日は素敵なお菓子をありがとうございました。家族でおいしくいただきました」のように、具体的な感想を添えると、より感謝の気持ちが伝わりやすいでしょう。
ただし、例外もあります。
もしいただいた品物が、明らかに高価なもの(例えば、5,000円以上するような品物や現金)であった場合は、話が別です。
この場合は、相手も「お祝い」という気持ちで贈ってくれている可能性が高いため、きちんとお返し(内祝い)を準備するのがマナーです。
状況を見極め、相手の気持ちに寄り添った対応を心がけることが、良好な関係構築につながります。
お返し(内祝い)におすすめの品物
前述の通り、ご近所から高価な新築祝いをいただいた場合には、お返し(内祝い)を用意するのが礼儀です。
内祝いを贈る際の金額の相場は、いただいた品物の金額の「半額(半返し)」から「3分の1」程度が一般的です。
例えば、1万円の品物をいただいたのであれば、3,000円から5,000円程度の品物を選ぶと良いでしょう。
品物選びの基本的な考え方は、こちらから挨拶品を贈る場合と同様で、相手に気を遣わせない「消えもの」がおすすめです。
内祝いにおすすめの具体例
少し高級なクッキーやバームクーヘンの詰め合わせといったお菓子は、定番で失敗が少ない選択肢です。
有名パティスリーのものや、パッケージがおしゃれなものを選ぶと、感謝の気持ちがより伝わりやすくなります。
また、コーヒーや紅茶、ジュースなどの飲み物のギフトセットも喜ばれます。
相手の家族構成や好みが分かっている場合は、それに合わせて選ぶと良いでしょう。
調味料やドレッシング、上質な油のセットなども、実用的で主婦層には特に人気があります。
自分ではあまり買わないような、少し珍しいものや質の良いものを選ぶのがポイントです。
もし相手の好みが全く分からない場合は、カタログギフトを贈るという選択肢もあります。
カタログギフトであれば、相手が本当に欲しいものを自分で選べるため、品物選びで失敗する心配がありません。
内祝いを贈る際にも、もちろん「のし」を付けます。
水引は「紅白の蝶結び」を選び、表書きは「内祝」または「新築内祝」とします。
下段には、こちらの名字を記載します。
お返しを贈るタイミングは、新築祝いをいただいてから1ヶ月以内が目安です。
あまり遅くならないように、早めに準備を進めましょう。
感謝を伝える挨拶のポイント

ご近所付き合いにおいて、物やお金以上に重要なのが、日々のコミュニケーションです。
新築祝いをいただいた場合も、お返しの品を用意するかどうかにかかわらず、感謝の気持ちを伝える挨拶が何よりも大切になります。
挨拶は、良好な人間関係の基本であり、今後の付き合いをスムーズにする潤滑油の役割を果たします。
まず、品物をいただいたその場でお礼を言うのは当然ですが、それで終わりにしてはいけません。
後日、道端やマンションの廊下などで顔を合わせた際に、「先日はありがとうございました」と、改めてお礼を伝えることが非常に重要です。
この一言があるかないかで、相手に与える印象は大きく変わります。
二度目のお礼は、相手に「きちんと覚えていてくれたのだな」という丁寧な印象を与え、より深く感謝の気持ちを伝えることができます。
その際には、ただお礼を言うだけでなく、「いただいたお菓子、とても美味しかったです」「あのタオル、肌触りが良くて早速使っています」のように、具体的な感想を付け加えると、会話が弾むきっかけにもなります。
自分の贈ったものが実際に喜ばれていると知れば、贈った側も嬉しい気持ちになるものです。
また、普段からすれ違った際には、こちらから積極的に「こんにちは」「おはようございます」と笑顔で挨拶をすることも忘れないようにしましょう。
このような日々の小さな積み重ねが、信頼関係を築き、いざという時に助け合えるような良いご近所関係へと発展していきます。
新築という新しい環境での生活を快適なものにするためにも、まずは自分から心を開いて、積極的にコミュニケーションを取る姿勢を大切にしてください。
新築祝いをご近所と円滑に進める総まとめ
新築に伴うご近所付き合いは、多くの人にとって期待と不安が入り混じるものでしょう。
特に、最初の接点となる挨拶回りや、それに伴う新築祝いのやり取りは、今後の関係性を左右する重要なイベントです。
これまで解説してきたように、ご近所への新築祝いは、高価な品物である必要はありません。
大切なのは、これからお世話になる方々へ「よろしくお願いします」という気持ちを伝えることです。
500円から1,000円程度の、相手に気を遣わせない消えものを選び、正しいマナーでのしを付け、適切なタイミングで伺うことができれば、きっとあなたの誠意は伝わるはずです。
また、逆にご近所からお祝いをいただいた場合も、慌てる必要はありません。
基本的には、かしこまったお返しは不要と考え、その分、何度も言葉で感謝を伝えることを心がけましょう。
もちろん、高価なものをいただいた際には、相場に合わせた内祝いを用意するのが大人のマナーです。
この記事で紹介した相場や品物選びのポイント、のしの書き方、贈るタイミング、そしてお返しに関する知識が、あなたの新生活のスタートを円滑にする一助となれば幸いです。
最終的に目指すべきは、品物のやり取りを通じて、お互いが気持ちよく暮らせる良好なご近所関係を築くことです。
マナーを守りつつも、あまり堅苦しくなりすぎず、笑顔の挨拶を忘れずに、新しいコミュニティに溶け込んでいってください。
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この記事のまとめ
- 新築祝いをご近所に贈る際は挨拶品と考える
 - ご近所への挨拶品の相場は500円から1,000円が一般的
 - 相手に気を遣わせない金額設定がマナー
 - 品物はタオルやお菓子などの「消えもの」が最適
 - ラップや洗剤などの日用品も喜ばれる選択肢
 - のしの水引は「紅白の蝶結び」を選ぶ
 - 表書きは「御挨拶」とするのが最も丁寧
 - 名前は水引の下に名字のみを記載する
 - 渡すタイミングは引っ越し後1週間以内が目安
 - 訪問時間は相手の迷惑にならない日中を心がける
 - 火事を連想させる赤い物やキャンドルはタブー
 - ご近所からの少額の祝いにはお返し不要が基本
 - お返しよりも言葉で感謝を伝えることが重要
 - 高価な祝いには半額から3分の1程度の内祝いを用意する
 - 日頃からの笑顔の挨拶が良好な関係の礎となる